◎フリーランス保護法(ミュージシャン編)

島村楽器との契約に見る音楽系フリーランスの未来

前回は大手出版社と作家、漫画家、イラストレーターとの関係について触れました。

今回はそのミュージシャン編です。

2024年に成立し、2025年から施行された「フリーランス保護法」(「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」)は、音楽業界にも大きなインパクトを与えようとしています。

特に注目されているのが、音楽教室インストラクターやレッスン講師など、「個人事業主として業務委託されている音楽家」たちの保護強化です。そして、今回報道されている島村楽器です。

■ 島村楽器とフリーランスの関係

島村楽器は、全国に多数の店舗と音楽教室を展開する大手楽器販売・音楽教育企業です。多くの音楽講師と業務委託契約を結び、ピアノ、ギター、ボーカル、ドラムなど、さまざまなレッスンを提供しています。

これらの講師の多くは「業務委託契約」、つまり労働者ではなくフリーランスとして契約しています。そのため、これまでは労働基準法の保護を受けられず、「契約内容が一方的」「報酬の支払いが遅れる」「ハラスメントがあっても声を上げにくい」といった問題が指摘されていました。

■ フリーランス保護法で何が変わる?

2025年施行のフリーランス保護法によって、以下のようなルールが企業に義務付けられました。

・契約内容の書面交付義務(仕事内容、報酬、支払日など)
・報酬は60日以内に支払い
・不当な契約解除の禁止
・ハラスメント対策の義務化
・報復的取扱いの禁止

つまり、島村楽器のような企業も、講師との契約においてこれらを守る必要があります。たとえ講師が法人ではなく「個人名義」で仕事をしていても、該当すればこの法律の保護対象になります。

■ 音楽家フリーランスが、今、やるべきこと

フリーランス講師や演奏者の皆さんにとって、この法律は追い風です。とはいえ、自分の契約が法律に適合しているか、そもそも保護対象になるのかを判断するには一定の専門知識が必要です。

また、報酬未払い・急な契約解除・レッスン時間の一方的変更などのトラブルが起きたとき、法的にどのような対応が可能かを知っておくことも重要です。

■ まとめ:音楽家にも法の光が届く時代へ

フリーランス保護法の施行によって、これまでグレーゾーンだった契約関係に透明性が求められるようになりました。島村楽器のような大手企業であっても、法令を無視した契約運用はリスクになります。

音楽に情熱を持って仕事にしているフリーランスの皆さんが、安心して働ける環境を手に入れるために、今こそ契約を見直し、法的知識を武器にしましょう!

※このブログは情報提供を目的としており、特定の企業を批判するものではありません。実際の契約内容やトラブル対応については、行政書士や弁護士など専門家への相談をおすすめします。

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