医療限界社会──大学病院の崩壊と、いま問われる「支える側」の覚悟
大学病院は、日本の医療を支える最後の砦です。
しかしその砦が、静かに、そして確実に崩れつつあります。
この現実は、医療者だけでなく、国民全体、そして政策を司る立場の人々が向き合うべき問題です。
今回は、「医療関係者」「一般の方々」「政策関係者」それぞれの立場に向けて、現場で何が起きているのかを伝えたうえで、行政書士としてどう関わるべきかを提案します。
医療関係者の皆さまへ──“使命感”だけでは、もう支えきれません
多くの医師や看護師が「限界だ」と声を上げられずに働いています。
特に大学病院では、診療・教育・研究の三重苦にさらされ、長時間労働と精神的負担が慢性化しています。
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若手の医師が消耗し、育成が滞る
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中堅が辞め、チームが分断される
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指導者は人材不足に疲弊し、最先端の医療が維持できなくなる
これは単なる「働きすぎ」の問題ではありません。
構造として“崩壊のフェーズ”に入りかけているのです。
▶ 医療従事者同士の横のつながり、医療×法律の連携、政策への発信がこれまで以上に求められています。
“現場にいる者にしか言えない言葉”を、社会につなげる時期です。
一般の皆さまへ──「大学病院=何でも治してくれる場所」ではありません
日本の医療制度は、「自由に病院を選べる」制度です。
しかし、すべての人が大学病院にアクセスできるからといって、大学病院がすべてを解決できるわけではありません。
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本来は「紹介状」が必要な重症・専門性の高い患者のための場所
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地域でカバーすべき医療まで集中し、機能不全に陥っている
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医療従事者が過労で辞めると、“診てもらえる人”自体が減っていく
このままだと、「本当に必要な人」が大学病院にかかれなくなります。
▶ 軽症の段階での地域受診、予防医療、そして医療リテラシーの向上が、大学病院を守ることに直結します。
政策関係者・行政の皆さまへ──制度設計の“ほころび”は、現場で命を削って埋められています
医療政策の根幹にある「診療報酬」や「医師の働き方改革」。
その方向性自体は間違っていません。
ですが、制度の隙間や過渡期の歪みが、大学病院という“高度医療の最後の砦”を直撃しています。
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高度医療を担うほど、赤字になっていく仕組み
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教育・研究・診療のバランスを取る余地が失われている現実
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働き方改革のしわ寄せが現場の疲弊につながっている
▶ 医療リソースの再配分、財政支援の強化、DX化による業務削減、地域連携の本気の再構築が必要です。
特に大学病院には、「高度医療」と「教育・研究機能」という特殊なミッションがあります。
これを“普通の病院”と同じ土俵で評価するのは限界です。
行政書士は、法務コンシェルジュとして、医療と社会をつなぐ“通訳者”になれます
医療と法律、福祉と制度、現場と行政。
この“つながりの断絶”が、医療限界社会の大きな要因の一つです。
行政書士は、まさにその「間」を橋渡しできる立場にあります。
では、何ができるでしょうか?
■ 医療法人・病院経営のサポート
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医療法人の設立・運営相談
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各種助成金、補助金の申請支援
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医療機関の法的ガバナンス体制の整備
■ 医療従事者の働き方・権利保護
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労働契約・雇用トラブルの予防
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外国人医療人材のビザ・在留資格手続き支援
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医療職の副業・兼業・開業サポート
■ 行政との橋渡し役
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医療機関と自治体の連携支援
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医療系NPOや地域包括ケア団体の設立支援
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地域医療計画、災害医療計画などの行政書類作成協力
最後に──医療の「限界」を、越えていくために
医療限界社会とは、単に医師が足りないとか、病院が赤字だという話ではありません。
それは、「人」と「制度」と「意識」のすべてが疲弊し、支え合う力を失いかけている社会のことです。
でも、まだ間に合います。
支える側が、自分の立場からできることを一歩踏み出せば──
大学病院も、地域医療も、そして日本の医療全体も、もう一度前に進めるはずです。
行政書士として、社会の“見えにくい隙間”に手を伸ばす仕事をしてきたからこそ、
この限界の先にある“希望”を、一緒に創っていけると信じています。
