◎AI生成画像を会社のホームページやSNSで使って大丈夫?

著作権の注意点を行政書士が解説

最近は、文章だけでなく画像も生成AIで簡単に作れるようになりました。

「笑顔で働いている会社員のイラストを作って」

「近未来的な東京の街を描いて」

「会社のSNSに使える明るい雰囲気の画像を作って」

こんな指示を入力するだけで、驚くほどきれいな画像が出来上がります。

しかも、写真素材を探したり、自分でイラストを描いたりする必要もありません。

会社のホームページやブログ、SNS、広告などに、

「このAI画像、使ってみようかな?」

と思う方もいるでしょう。

そこで気になるのが、

「AIで作った画像なら自由に使って大丈夫なの?」

という問題です。

結論からいうと、

「AIで作った画像だから、何にでも自由に使える」と考えるのは少し慎重になったほうがよいでしょう。

今回は著作権を扱う行政書士の立場から、企業や個人事業主がAI生成画像をホームページやSNSなどで利用するときに知っておきたいポイントを、できるだけわかりやすく考えてみたいと思います。

そもそもAI生成画像に著作権はあるの?

まず気になるのは、

「AIが作った画像には著作権があるの?」

ということでしょう。

前回の記事では、ChatGPTなどで生成した文章と著作権について取り上げました。

画像についても基本的な考え方には共通する部分があります。

重要になるのは、

「人間が創作的に関わっているか」

という点です。

AIが自律的に生成しただけで、人間による創作的な関与が認められない場合、そのAI生成物が著作物に該当しないことが考えられます。

一方、人間がAIを道具として使い、

「こういう作品を作りたい」

という創作意図を持ち、生成過程で創作的な寄与を行っている場合には、著作物に該当する可能性があります。

つまり、

AIを使ったか、使っていないかだけで著作権の有無が決まるわけではありません。

AIをどのように使い、人間がどの程度創作に関わったのか。

ここが一つのポイントになります。

「著作権があるか」と「使って大丈夫か」は別の問題

ここは少しややこしいところですが、とても大切です。

たとえば、自分が生成したAI画像について著作物性が認められるかどうか。

これは、

「そのAI生成画像自体が著作権で保護されるのか」

という問題です。

しかし会社でAI画像を使う場合、もう一つ考えなければならない問題があります。

それは、

「その画像が、他人の著作権などを侵害していないか」

という問題です。

この二つは別々に考える必要があります。

「このAI画像には私の著作権が認められないかもしれない」

ということと、

「だから自由に公開してよい」

ということは同じではありません。

ここを混同しないようにしたいところです。

注意点1 既存の作品と似ていないか?

たとえばAIに、

「○○のようなキャラクターを描いて」

「○○という作品そっくりのイラストを作って」

といった指示をしたとします。

生成された画像が、既存の著作物の創作的な表現と類似している場合には、著作権との関係が問題になる可能性があります。

特に会社の広告や商品のパッケージなど、商用目的で広く公開する場合は慎重に考えたいところです。

大切なのは、

「AIが作ったのだから、自分はコピーしていない」

だけでは判断できないということです。

最終的にその画像を選び、公開し、利用するのは人間です。

AIが生成した画像だから大丈夫、と自動的に考えないことが重要です。

注意点2 有名キャラクターや作品名を安易に指定しない

AI画像を作るとき、

「○○風にしてください」

と入力したくなることがあります。

確かに、具体的な名前を入力すると自分がイメージしている雰囲気をAIへ伝えやすくなります。

しかし、会社のホームページや広告などで利用するのであれば、

特定の既存作品やキャラクターに過度に寄せる使い方には注意したほうがよいでしょう。

そこで私は、

「特定の作品名を指定する」

のではなく、

「自分が欲しい表現の特徴を言葉で説明する」

方法をおすすめします。

たとえば、

「○○という作品風」

ではなく、

「柔らかい色使いで、手描き感があり、親しみやすい雰囲気」

と伝える。

「○○というキャラクターのように」

ではなく、

「丸みのある形で、明るく親しみやすいオリジナルキャラクター」

と伝える。

このほうが、

「自分はどんな表現を作りたいのか」

を考える練習にもなります。

注意点3 「商用利用できるか」はサービスの利用規約も確認

著作権だけ確認すれば終わり、とは限りません。

AI画像を仕事で利用するときには、

利用している生成AIサービスの利用規約

も確認しましょう。

サービスによって、生成物の取り扱いや利用条件などが定められています。

しかも利用規約は変更される可能性があります。

そのため、

「以前、商用利用できると聞いたから大丈夫」

ではなく、

実際に利用する時点の規約を確認する

ことが大切です。

特に、

ホームページ、

SNS広告、

パンフレット、

商品パッケージ、

販売するコンテンツ、

などにAI画像を利用するときは、一度確認しておきたいところです。

注意点4 著作権だけでなく肖像や商標などにも注意

AI画像について考えると、どうしても「著作権」だけに目が向きます。

しかし、企業が画像を利用する場合には、それ以外の権利や法律上の問題が関係する場合もあります。

たとえばAIが、

実在する人物によく似た顔、

企業のロゴ、

商品を識別するマーク、

などを生成することがあります。

すると、著作権だけではなく、肖像、パブリシティ、商標など、別の問題を検討する必要が出てくる場合があります。

つまり、

「著作権上大丈夫そうだから、全部大丈夫」

とは限らないのです。

AI生成画像を公開する前には、

「誰かの権利や利益に関係するものが入っていないか?」

という視点でも画像を見ることをおすすめします。

注意点5 AIが作った画像を必ず人間が確認する

これは当たり前のようですが、とても重要です。

AIで画像を生成したら、

そのまま公開しない。

一度、人間がきちんと見る。

「変な文字が入っていないか?」

「既存の商品やロゴに似たものはないか?」

「有名なキャラクターを連想させないか?」

「実在する人物に見えないか?」

「会社のイメージに合っているか?」

こうした点を確認します。

生成AIが便利になればなるほど、

最後に確認する人間の役割

が重要になります。

「AIで作りました」と表示すれば大丈夫?

こんな疑問もあるかもしれません。

「AI生成画像だと表示しておけば問題ないの?」

AIで作ったことを表示することと、第三者の権利を侵害しているかどうかは、基本的に別の問題です。

「AI生成画像です」

と書けば、著作権などの問題が自動的に解消されるわけではありません。

一方で、AI生成であることをどのように表示するかについては、利用するサービスやプラットフォームのルール、広告や取引の内容などによって確認すべき事項が生じることも考えられます。

ですから、

「AIと書けばOK」

と単純に考えず、利用場面ごとに考えることが必要です。

会社でAI画像を使うなら「社内ルール」を作ってみよう

これから生成AIの利用が広がると、

社長はAIを使っている。

広報担当者も使っている。

営業担当者もSNS用の画像を作っている。

という会社が増えるでしょう。

そうなると、社員それぞれが自分の判断でAI画像を使うことになります。

そこで私は、小さな会社でも簡単な「AI利用ルール」を作っておくとよいと思います。

難しい規程である必要はありません。

たとえば、

「AI画像は公開前に担当者が確認する」

「特定のキャラクターそっくりの画像を作らない」

「実在する人物の画像を無断で生成・利用しない」

「会社の機密情報をAIへ入力しない」

「商用利用前に利用規約を確認する」

といったルールです。

最初はA4用紙1枚程度でもよいでしょう。

AIを禁止するためのルールではありません。

社員が安心してAIを使うためのルール

と考えるとよいと思います。

行政書士が考える「公開前の5秒チェック」

もっと簡単な方法も考えてみました。

AI画像をホームページやSNSに掲載する前に、5秒だけ立ち止まります。

そして自分に問いかけます。

① 誰かの作品に似ていない?

② キャラクターやロゴが入っていない?

③ 実在する人物に似ていない?

④ 利用しているAIサービスの条件は大丈夫?

⑤ 会社の名前で公開して大丈夫?

一つでも、

「ちょっと気になるな」

と思ったら、そのまま公開せず確認する。

この習慣だけでも、AI画像との付き合い方はかなり変わるのではないでしょうか。

AIへの「批判力」は画像にも必要

こちらでは以前、

「AIへの批判力を養成しよう!」

というテーマを取り上げました。

AIへの批判力とは、AIを批判したり否定したりすることではありません。

AIが出したものについて、

「本当に大丈夫?」

と一度立ち止まって考える力です。

これは文章だけではなく、画像にも必要です。

AIが作った画像を見て、

「すごい!」

で終わらず、

「でも、これを会社で使って大丈夫かな?」

と考えてみる。

その一瞬の「?」が大切なのです。

AIを怖がるのではなく、上手に使おう

ここまで注意点をたくさん挙げてきました。

すると、

「AI画像は危ないから使わないほうがいいのでは?」

と思われるかもしれません。

私はそうは思いません。

生成AIは、小さな会社や個人事業主にとって、とても面白い道具だと思っています。

これまでならデザイナーに依頼しなければ作れなかったようなイメージを、まずAIで試してみる。

SNS投稿用のアイデアをAIに出してもらう。

ホームページのイメージを考えるためにAI画像を使う。

こうした使い方には大きな可能性があります。

大切なのは、

「使わない」ことではなく「考えながら使う」ことです。

AIが作っても、最後に判断するのは人間

AI生成画像は、とても便利です。

会社のホームページ、ブログ、SNS、広告など、さまざまな場面で利用する機会が増えていくでしょう。

しかし、

「AIが作ったから自由に使える」

とは限りません。

既存作品との関係。

著作権。

肖像や商標などの問題。

AIサービスの利用規約。

商用利用の条件。

確認すべきことはいくつかあります。

だからといって、AIを怖がる必要もありません。

私は、

AIに作ってもらう
↓
人間が確認する
↓
気になることを調べる
↓
必要なら専門家に確認する
↓
人間が判断する

という流れが大切だと思っています。

AIは画像を作ってくれます。

しかし、

「この画像を会社として世の中に出してよいか?」

を判断するのは人間です。

AI時代だからこそ、

「便利だな」のあとに「本当に大丈夫かな?」

と考えてみる。

そんな小さな習慣を大切にしたいと思います。

AIを怖がらず、AIを信じすぎず、上手につきあう。

それが、これからの企業に必要なAIリテラシーの一つではないでしょうか。

※本記事は生成AIと著作権等について一般的な情報を紹介するものであり、個別の事案について法的判断を示すものではありません。AIサービスの規約や関係する制度等は変更されることがありますので、実際の利用時には最新情報をご確認ください。